本中万年筆
本の中の万年筆その5
風の影 上・下
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「忘れられた本の墓場」で偶然見つけた一冊の本が話の小説と聞き、本好きの私としては 速攻で読み始めました。
すると、ある万年筆が重要なアイテムとして登場しているではないですか!!
当初それは主人公ダニエルがあこがれる限定ものの万年筆として登場します。
ショーケースの外から眺めるだけの万年筆が、ある衝撃的な出来事があった誕生日に父からプレゼントされます。
しかし、ダニエルがあまり使う場面がないので、後半までその存在すら忘れてしまうほどでした。
ところが、話の核心に迫る章でその万年筆のたどった数奇な運命が判明します。
ダニエルともう一人の主人公カラックスと万年筆との関係は・・・・。
本好きそして万年筆好きにはたまらない内容の小説です。
本の中の万年筆その4
アサッテの人
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賞をダブルで受賞したすごい小説とは知らずに読みました。
失踪した「叔父」が残したノートを元に物語?は進んでいきます。
読み進めていくと、
このノートには、万年筆で書いていることが分かります。
最初、「叔父」がいなくなった部屋の机の引き出しで「古い万年筆」が登場します。
しかし、
万年筆の種類はおろか特段くわしい描写もありません。
ノートに書いていた万年筆がこの万年筆なのか
それとも別の万年筆なのか、
失踪した「叔父」は、愛用の万年筆をどうしたのか。
なぜ、万年筆なのか。
などなど。
明らかになっていません。
(もっとも、そういう小説じゃあないのでまったく問題ないのですが・・)
物語の冒頭は、とっつきにくい印象でしたが、
徐々にの引き込まれていきます。
特に「叔父」が発する、4種類の言葉のイントネーション説明。
声に出して、試してみた方も多いのでは。
村上龍以来、約30年ぶりの快挙!
第50回群像新人賞、第137回芥川賞をダブル受賞した小説。
群像新人賞では選考委員各氏が絶賛し、芥川賞では、小川洋子氏、川上弘美氏、黒井千次氏ほかの支持を得ての受賞。
本の中の万年筆その3
クローズド・ノート
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話自体は、恋愛小説。かなり泣けるらしい。
主人公、堀井香恵がバイトしている先が万年筆好きには興味津々。
文具店の万年筆売り場でバイトするのである。
20本以上の万年筆が登場します。
どれもセレブなものばかり。
そこに来るお客さんとの対応のリアルさが、面白い。
映画化の話もあるとか。
楽しみです。
本の中の万年筆その2
物語集 赤い万年筆

この本には、表題作「赤い万年筆」の他に独立した5作品が収録されています。
ではさわりだけ。
時代は戦後まもなく。ある町にある"万年筆病院"という万年筆屋さん(専門店のようです。)が舞台です。
おじいさんが一人でお店をしています。
奥さんも息子さんも戦争で亡くしたからです。
以前は賑わっていたのですが、今は閑古鳥。
ある日、女の子がやってきます。
赤い細身の万年筆の修理を頼み来たのです。
おじいさんは、どこが悪いか聞かずに受け取ります。
聞かなくても万年筆のことなら、何でも分かるからです。(すごい!)
ところが、おじいさんの技をもってしても、原因が分からない。
水にペン先をつけると、ほの赤い紫色のインクが広がります。
お店にあるどのインクとも違う色です。
洗浄して、お店にあるインクを試しますが、書けません。
入っていたインクでないとだめなようです。
そこで、あの女の子を探します。(狭い町のようです。)
そしてやっとのことで、女の子を見つけると・・・・・・。
インクの正体は?
本の中の万年筆その1
花のようなインク
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万年筆というより、そのインクがお話の中心。
本のタイトルを含め、8作品からなる短編集です。
「花のようなインク」は、高校の先生の恋のお話。
先生になって3年目の夏、主人公は職場から近い下宿に住んでいます。
そこの管理人さん?の従姉妹の娘さんがお相手。
夏祭りに行ったり、文通したり(昭和30年代の設定なんでね)・・・・。
この娘さんの好きな色は赤色。
そこで、先生は、ある時意を決して、気持ちを伝えようとします。
彼女の好きな赤色のインクで。
<あなたに伝えたいことがあります。
でも、手紙に書くのはやめます。
今度お会いしたときにお話します。>
そして、返事を待つのですが・・・・。